House【快適な家にするためにはどんな工法が良い?】

今回のテーマである「快適」とはなにか?という定義からもう少し細分化しなければいけないと思いますが、工法というからには温熱環境を主体とした「暮らしやすさ」にフォーカスしてお話しするのがよいかなと思いました。
〜工法と名前がついているものはいくつもあり、メーカーが独自に名付けたものもあるので、一概にどれがよくてどれが悪いということも言えませんが。

あくまで、自分が家づくりをお願いするならこんなことに注意してメーカー選びをしたいなと思う3選をご紹介します。

 

 

①設計の自由度があるか?
〜工法と謳うからにはメーカーが自信を持っておすすめしたい設計があるはずです。ただし私にはそういうの必要ないです。

それよりも自分がどんな環境で暮らしたいか、エアコンは埃が舞うので嫌とか火の揺らめきをみて過ごしたいとかそういう思いを叶えてくれるところに依頼をしたい。

例えばパネルヒーターや薪ストーブを設置するなら間取りの自由度も重要です。規格住宅や建売ではそういった希望は叶え難いだろうから、そもそも選びませんが、〜工法とうたっているところも案外制限があって希望が通りません。
なのできちんと高い外皮性能を発揮してくれる設計は最低限必ず求めますが、工法を押し売りされるのは嫌ですね。

 

 

②木造住宅であるか?
鉄骨・コンクリート造(これは工法と呼ぶのか?)は選びません。つけたすと寒冷地では選べません。
デザイン的には木造ができないトリッキーな構造が可能だしコンクリートの素材感も建築としては好きですが、ランニングコストがいくらかかっても良いという条件下でないと難しいかなと思います。
なぜなら、熱橋をなくせないから。

熱橋というのは、英語でヒートブリッジとも呼ばれる現象のことです。

その名の通り熱を橋渡ししてしまう存在となるので、屋内外の熱移動が生まれます。

夏場は外部の熱を内部に通し、冷房負荷があがりますし、壁の表面温度も上がるので空気をより冷やさなければいけません。

冬場はせっかく温めた内部の熱を外に逃してしまうので当然暖房負荷が上がります。

壁表面においても夏とは逆の現象がおきますね。

 

 

そしてなによりも壁内結露が怖いです。キンキンに冷えた鉄の棒やコンクリートに暖かい空気があたれば容易に結露を起こします。

それが見えない壁の中で常に起こっていることを想像すると、いくら耐震性が強い構造といえども劣化を引き起こします。

この点は寒冷地でそれを作っているメーカーさんはどのように対応しているのですかね。

以前、鉄骨造で悩まれているお客様が相談に来られた時には、メーカーは「断熱材を巻いているから大丈夫」と説明したそうですが、いったい何ミリの断熱材を巻いているのか?そしてそもそも熱橋はなくならないことをどのように考えているのか?いくつもの疑問が湧いたのを覚えています。

 

 

③知識が十分にあり、自社のメリットとデメリットをきちんと把握しているか?
これは重要です。メリットしかないというメーカーは信用しません。暮らし方というのは十人十色です。
AさんにはぴったりでもBさんには合わないということは、当たり前に起こりえる話。

つまりAさんにはメリットでもBさんにはデメリットになりうるわけで、そのマッチングができなければみんなが快適に暮らせる家を手にすることができないはず。

それなのに全員に対してメリットがありデメリットがないと言い切ることは、しっかりと施主の要望に応えようとする気持ちを感じないし、自社の工法の信者であり世の中を見ないので、他の良いものに気づけない視野の狭さを感じます。

 

 

今現在、自社の家づくりがベストと考えることは多くのメーカーが同じかと思いますが、もっとよくしたいという気持ち無くして成長はありません。

自分たちの強みと弱みをきちんと理解しているメーカーであれば、自分にとってデメリットにならないことかきちんと確認できるので、安心して依頼できます。

このテーマ言い出したらキリがないかも。3選にしておいてよかったです。
それではまた。

 

この記事を書いた人

竹内恵一
竹内恵一空間デザイナー
1987年生まれ|2級建築士・東京にてショップデザイン専攻
地元長野に戻ってからはグラフィックを扱う企業へ就職するも、空間デザインの世界が諦めきれず、数年後には起業を果たしBlackPepper LLPを設立。軽井沢の別荘建築で現場の経験も積みながら、デザイナーとしての道へと本格的に歩みを進める。2017年6月には株式会社BlackPepperを設立。同社取締役デザイナーとして、主に住宅・店舗設計を手がけている。

一見、住宅と店舗ではかけ離れているような分野だと思えるが、考え方や求められていることが違う分、別視点からの柔軟な発想を両デザインに落とし込むことができている。今もなお両立しているこのスタイルは妥協のない空間づくりへの姿勢の表れであり、今後も理想を描き続けるための核とも言えるだろう。